jam』が12月1日(土)より公開される。
熟女ファンの支えで生計を立てるシニカルなローカル演歌歌手・横山田ヒロシを青柳翔が、意識不明の彼女のために無我夢中で迷信に傾倒するトリッキーな西野タケルを町田啓太が、刑務所送りにされたやくざへの復讐を胸に暴れまわる川崎テツオを鈴木伸之が、任命された。
彼ら3人の共通点は「現在、目覚ましい活躍を見せる俳優」ということ以外に、「劇団EXILE」というグループのメンバーであることが挙げられる。EXILE HIROがゼネラルプロデューサーを務める「劇団EXILE」は、年齢も個性もバラバラの9人で構成されており、アーティスト活動で知られる「EXILE」とは、また異なる魅力を放つ俳優チームだ。本作『jam』には「劇団EXILE」が総出演しており、彼ら自身の魅力を知り得る上でも大事な一本となっている。
そんな9人を手厚い演出で迎えたのは、『MONDAY』、『DRIVE』、『幸福の鐘』などの代表作で知られ、映画好きが熱視線を送る鬼才・SABU監督。果たして、撮影ではどのようなやり取りが繰り広げられたのか、近しい彼らだからこそ話せる、それぞれの役柄や心情について聞けば、頬をゆるめて語り出した。
――撮影前に、皆さんそれぞれSABU監督とお話をされたそうですね。役柄について話し合ったんですか?
町田 「どうなりたい」とかの気張った話ではなくて、何気ない話ばかりをしていました。きっと普段の会話の中から、僕のいろいろな要素を引っ張ってくださって、脚本にして、タケルというキャラクターを当ててくださったんだろうなと思っています。1~2回しか会っていないのに、僕も含めてですけど、劇団EXILE全員の個性をちょっと引き伸ばしたというか、誇張させたようなキャラクターになっていたので、本当にすごい……流石だな、と思いました。
鈴木 僕は、SABUさんと会議室で30分くらい話をしました。「どういう作品をやりたいの?」と言われたとき、「『海猿』みたいな作品をやりたいです!」と言って。
町田 テイスト、真逆いっちゃったね。
鈴木 はい(笑)。30分、ブワーッと僕がしゃべって、SABU監督はずっとうなずいて聞いてくれて終わったんです。結果、僕の役は台詞が一言もありませんでした(笑)。笑顔も一切ない感じになりました。
――青柳さんは、SABU監督とは『MR.LONG/ ミスター・ロン』以来なので、旧知の仲とでも言いますか。
青柳 SABUさんは俺のことをわかった上で、いじったんでしょうね。SABUさんから直接聞いたわけじゃないのでわからないですけど、「こういうのをやったら面白いんじゃないか?」って横山田ヒロシができたんじゃないかなと思っています。スタッフさんやSABU監督含め、みんなでヒロシをふざけさせたり、抑えたりしつつ、それでもみんな、やりすぎていくので(笑)。楽しみながら、みんなで「これ、やりすぎかな?」、「え、いいんじゃないですか。いっちゃいましょう」みたいな感じでやっていました。
――おっしゃる通り、それぞれのキャラクターがすごく立っていたように思います。ほかのメンバーの「この役をやりたかったな」的な思いはありますか?
町田 僕のお気に入りは、やっぱり青柳さんが昌子(筒井真理子)に監禁されるシーンなんですよ。あれは……ちょっと僕もやってみたいです(笑)。ただ、青柳さんだから、ちょっと笑える部分があるんだろうなと思っています。僕がやったら……もしかしたら、ちょっとどうなるんだろう。
鈴木 俺も、やっぱりヒロシをやってみたいです! (歌唱中に)「ヒロシ!」って言われるの、気持ちよさそうですよね!
――言われてみたい感じですか?
鈴木 はい! 合いの手がいっぱい返ってきて。
青柳 意外とね、乗っちゃうもんだよ?
鈴木 ですよね(笑)。絶対そうだろうなと思いました。
青柳 「ヒロシ」って言われるとね、うれしい。
町田 俺も、まずスモークの中からせり上がってきてみたいです(笑)。「どういう気分なんだろ?」って思いました。
青柳 ヒロシ、待望の市民ホールですから。
――青柳さんはヒロシの役作りにおいて、参考にされた方とかはいるんですか?
青柳 いろいろなアーティストさんのYouTubeを観ました。格好いいところもあるんだけど、その人の熱烈なファンじゃなければ、ちょっと「ん?」みたいな部分って、たくさんあるじゃないですか。そういった部分のニュアンスを探りました。端から見たらダサいんだけど、本人は「格好いい」と思ってやっていて、熱烈なファンにはそれが「すごく格好よく見える」という。すごく心理的に、複雑なものを(笑)。
――引いて見ると、割とシュールな図ですよね。
鈴木 確かに。
青柳 結果、やっていることはダサいんだけど、本人はいたって真剣にやっているんですよ。YouTubeの動画を観ていたら、結構面白いものがいっぱいありました。そのすごくきわどいところを攻め? ??、怒られない程度に……。
鈴木 いや、本当に抑えた中で生まれる笑いを、上手にされていましたよね。狙いにいっていなかったというか、青柳さんは……というかヒロシは、笑いを欲しがっていなかったですよね。それは、すごく感じました。
――逆に、青柳さんはヒロシ以外にやってみたかった役はありましたか?
青柳 ………いや。ヒロシですかね。
町田&鈴木 おお(笑)。
――「青柳さんにしかできない」的お話で盛り上がりましたが、おふたりから見て「これ、町田さんにしかできなかったよね」と思ったようなシーンはありましたか?
青柳 寝たきりの彼女にハンドクリームを塗って、リップクリームを塗っているときの町田の気持ち悪さですね。たぶん俺がやったら、もっとどんよりして、さらに気持ち悪く……というか、ちょっと危ないやつになる。町田だと、ちょっと清潔感もあるし。
鈴木 ああ、そうかもしれないですね。
青柳 若干いい人というか。「いいことをすれば」と信じる心が、ちょっとずれた方向に行って、微妙な方向に見えるのがよかったなって。
鈴木 俺も、町田くんがブラジャーを拾って揺らすところが、すごく好きでした。狂気じみていますし。やっぱりいい人も行き過ぎるとちょっとやばく見えるというか。
青柳 俺がブラジャーのをやったら、だいぶやばいから。犯罪者になっちゃうから!
町田 やばいですね(笑)。想像しただけで、ちょっと危ないです。
鈴木 (笑)。たぶん、啓さんは清潔感も品もあるから。そういう人がやるからこそ、よりリアリティーがある気持ち悪さが出るんでしょうね。
町田 劇団でやらせてもらえることもあったので、普段のお芝居では挑戦できないようなところまでやってみたいなと、今回はチャレンジさせてもらいました。
――なるほど。では、鈴木さんならではの演技のポイントも、おふたりから解説していただきたいです。
青柳 蹴りのえげつなさ! あれは意図的にやっているもんね?
鈴木 意図的にやっています。
青柳 やっぱり俳優さん同士だと遠慮するときがあるんですけど、その遠慮が少しでも垣間見えると、観ている人に伝わってしまうと思うんです。もちろんSABU監督にもわかりますし、遠慮していると「ウッ(うめき声)」とならないというか。
鈴木 「痛そう」ってならない。
青柳 でも、ノブの蹴りは「ウッ」となる。
鈴木 僕のアクションは……逆に、観ていたら相手の人が心配になりますよね。撮影でカットがかかった後、「あの俳優さん、大丈夫だったのかな?」って心配になるぐらいの勢い。
青柳 でも「ウッ」となることが、すごく重要じゃないですか。特にこの作品に関しては。例えば、もっと明るいポップな違う作品だったとしたら、別にそこまでやる必要はないかもしれないけど、この作品に関してはその要素が必要だったと思うんですよね。
――そのあたり、鈴木さんも皆さんも「HiGH&LOW」シリーズなどでアクション経験をかなり積んでおられるので、得意分野といえますかね?
鈴木 だいぶ、アクションに関しては。技術のお話になってきますけど、本当に押し込んじゃったら怪我になっちゃうから、特殊技術で頑張りました。
青柳 グッと押し込んで?
鈴木 「バンッ」とすごい勢いで蹴っているように見せて、実際は「ポンッ(ソフトタッチ)」という。あれは、僕がずっとアクションをやってきた中で身に着けたものです。
青柳 本当かよ(笑)?
鈴木 ……まあ、カットがかかった後、20分ぐらい、相手の方は立っていなかったですけど。
青柳 それ、芯食ってるね。がっつりボーン、いってるね!
――冗談ですよね。町田さんからご覧になって、鈴木さんのアクションはいかがでしたか?
町田 ノブの抱えている鬱憤が全部乗っかっていたな、というくらい、清々しいぐらい派手にやっていたから、観ていてちょっと気持ち良さも覚えるアクションでした。あまり日本では見られないようなアクションシーンが見られたので、「いいな」と思いましたし、単純にやっぱり格好よかったですね。画も締まって見えるし。ちなみに俺のノブのお気に入りのシーンは、ノブが声を出しているところ!
鈴木 へえ1? 俺、気づいていない。
町田 1回だけ、湖から上がってきたときに「ウッ」という声を出していたんです。あんなに刺されたり、ボコボコにされて、痛みをまったく感じないだろう奴なのに、寒さだけは感じているんだ、と思って(笑)。
鈴木 俺、「ウッ」と言っていたんですか(笑)?
町田 言ってた、言ってた。
青柳 寒かったんだよね?
鈴木 寒かった、やばかった。だって、あれ真冬ですよ。湖に水じゃなくて、氷が張っていましたから……。容赦なく体も張っているので、是非楽しんでください。(インタビュー・文=赤山恭子、撮影=林孝典)
映画『jam』は2018年12月1日(土)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー。
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応募締切 2018年12月9日(日)23:59までのご応募分有効
【応募資格】
・Filmarksの会員で日本在住の方
【応募方法および当選者の発表】
・応募フォームに必要事項をご記入の上ご応募ください
・当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます
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