“ミステリーの女王”の称号を持つ英作家アガサ・クリスティの傑作ミステリーを、第94回アカデミー賞・脚本賞受賞作『ベルファスト』（21）の、ケネス・ブラナーが監督・製作・主演で映画化したミステリー超大作「名探偵ポアロ」シリーズ。アガサが生涯を通して書き続けた大作であり、今もなお世界中から愛される作品の一つでもあります。
そこで本記事では、最新作『名探偵ポアロ：ベネチアの亡霊』を含む、シリーズ全3作品のあらすじ&見どころをまとめてご紹介します。
映画セレクト基準は？
本記事で紹介する映画は、国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks（フィルマークス）」のデータに基づきセレクトされたものです。
『オリエント急行殺人事件』（2017）
これまでに幾度も映像化されてきたアガサ・クリスティの推理小説「オリエント急行の殺人」を原作に、『ベルファスト』の、ケネス・ブラナーが製作・監督・主演を務めて新たに映画化。ジョニー・デップ、ジュディ・デンチ、ウィレム・デフォー、デイジー・リドリー、ペネロペ・クルスら豪華すぎる俳優陣の共演でも大きな話題を呼んだ。
あらすじ：乗客全員が容疑者“世界一の名探偵”ポアロが豪華列車で謎解きに挑む。エルサレムで教会の遺物が盗まれ、鮮やかな推理で犯人を突き止めた、名探偵のエルキュール・ポアロ。イスタンブールで休暇をとろうとした彼だが、イギリスでの事件の解決を頼まれて急遽、オリエント急行に乗車する。出発したオリエント急行でくつろぐポアロに話しかけてきたのは、アメリカ人富豪のラチェット。脅迫を受けているという彼は、ポアロに身辺の警護を頼む。しかし、ポアロはラチェットの要請をあっさりと断るのだった。深夜、オリエント急行は雪崩のために脱線事故を起こし、山腹の高架橋で立ち往生してしまう。そしてその車内で殺人事件が起こっていた。ラチェットが12か所も刺され、死体で発見されたのだ。乗り合わせていた医師のアーバスノットは、死亡時刻を深夜の0時から2時の間だと断定。鉄道会社のブークから捜査を頼まれたポアロは、乗客たち一人一人に話を聞き始める。ラチェットの隣室のハバート夫人が「自分の部屋に男が忍び込んだ」と訴えるなど、乗客たちの証言によって、さまざまな事実が明らかになってきた。しかし乗客全員にアリバイがあり、ポアロの腕をもってしても犯人像は浮上しない。ラチェットの部屋で発見された手紙の燃えカスから明らかになったのは、彼がかつてアームストロング誘拐事件に関わっていた事実だった。少女を誘拐し、殺害したラチェットが、復讐のために殺されたのか？ 殺人犯は乗客の中にいるのか、それとも……？
ベルギー訛りの喋りと大きな口ヒゲが特徴的な名探偵エルキュール・ポアロ（ケネス・ブラナー）が、豪華列車内で発生した殺人事件の謎解きに挑む姿を描いたシリーズ第1作目。立ち往生した列車内で繰り広げられるスリル満点の会話劇から、スタイリッシュなアクションシーン、容疑者13名の関係性から浮かび上がる悲劇的な真相が濃密に描かれており、重厚な本格派ミステリードラマに仕上がった。また、現代風の解釈を新たに加えた本作において、魅力的な登場人物たちを名優たちがそれぞれどのように演じてるのかにも注目して鑑賞して頂きたい一作となっている。
『ナイル殺人事件』（2022）
アガサ・クリスティの名作ミステリー「ナイルに死す」を原作に、ケネス・ブラナーが製作・監督・主演で映画化。『ワンダーウーマン』（17）の、ガル・ガドット、『君の名前で僕を呼んで』（17）の、アーミー・ハマーなどが作品に名を連ねた。
あらすじ：全世界で20億冊以上を売上げる「世界一売れている作家」アガサ・クリスティ原作。“世界一の名探偵”ポアロが挑む、エジプトの神秘ナイル川をめぐる極上の「ミステリー・クルーズ」。大富豪の美しき娘の新婚旅行中に、クルーズ船内で起きた連続殺人事件。容疑者は、結婚を祝うために集まった乗客全員……。豪華客船という密室で、誰が何のために殺したのか？ そして、ポアロの人生を大きく変えた“衝撃の真相”とは……？ 愛と嫉妬と欲望が複雑に絡み合う、禁断のトライアングル・ミステリーの幕が開く。
エジプトの神秘・ナイル川を運行する豪華客船を舞台とした、シリーズ第2作目。本作は、アガサの生誕 130 周年、名探偵ポアロシリーズ出版 100 周年という記念すべきアニバーサリーイヤーに公開されたことでも話題を呼んだ一作でもある。豪華客船という限定的な空間の中で繰り広げられる裏切り、愛憎、欲望が入り乱れる複雑な人間模様や、予測不可能な展開に最後まで目が離せない。また、広大でロマン溢れるエジプトの絶景から、当時の上流階級者のラグジュアリーなファッションなど、こだわり抜かれた映像美とそれぞれのパートのクオリティの高さにも驚かされる。
【最新作】『名探偵ポアロ：ベネチアの亡霊』（2023）
アガサ・クリスティが1969年に発表した「ハロウィン・パーティ」を原作に、引き続きケネス・ブラナーが製作・監督・主演を務めて映画化。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』（22）で、第95回アカデミー賞にて“初”のアジア人主演女優賞を獲得したことが記憶に新しいミシェル・ヨー、『ベルファスト』の、ジェイミー・ドーナン、ジュード・ヒルらが豪華共演を果たす。
あらすじ：ベネチアで隠遁生活を過ごしていたポアロは、霊媒師のトリックを見破るために、子供の亡霊が出るという謎めいた屋敷での降霊会に参加する。しかし、その招待客が、人間には不可能と思われる方法で殺害され、ポアロ自身も命を狙われることに……。はたしてこの殺人事件の真犯人は、人間か、亡霊か……世界一の名探偵ポアロが超常現象の謎に挑む、水上の都市ベネチアを舞台にした迷宮ミステリーが幕を開ける。
イギリスから第二次世界大戦後のハロウィーンを迎えたイタリアの水上都市・ベネチアに舞台を移した今作では、世界一有名な探偵・ポアロが、常識を超えた超常現象の謎を解き明かす姿が描き出される。美しいベネチアの絶景から一転、ミシェル・ヨー扮する謎の霊媒師が行う不気味な降霊会に足を踏み入れてしまったポアロ。果たして、事件の犠牲者となるのは誰なのか？ “ベネチアの亡霊”の正体とは……？ 引退を控えたポアロを取り巻く人々の人間ドラマも描かれる今作に、期待値は高まるばかり。シリーズ最新作『名探偵ポアロ：ベネチアの亡霊』は、2023年9月15日（金）より劇場公開。
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※2023年8月8日時点の情報です。
