弱冠21歳が創り上げた驚異の傑作!邦画の未来を予感させる『SLUM-POLIS』

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2014年、とある1人の大学生が卒業制作として制作した1本の映画が、その完成度で話題を呼び全国の映画祭で大絶賛を浴びました。その映画こそ、新鋭・二宮健が放つ『SLUM-POLIS』です。

パッケージ化はまだされておらず、映画祭や一部の映画館で限定的にしか公開されていない本作。観たくても観れなかった方々も結構いるのではないでしょうか。

2016年1月16日(土)~1月22日(金)の一週間限定でヒューマントラストシネマ渋谷にて公開されるとのことで、気になっていた方または「何その映画!?」と知らない方に向けて、本作の魅力を紹介させて頂きます。

オフィシャルサイト

卒業制作・自主制作の垣根を超えた圧倒的なクオリティに脱帽

2041年の大地震後の西日本。スラム化が広がる無法地帯に住む青年2人と1人の娼婦は奇妙な友情で結ばれていくが、やがて渦巻く闇の抗争に巻き込まれていく…というストーリー。

この映画、予告編を観てもらっても分かると思いますが、とても学生の卒業制作で作られた映画とは思えません。下手な邦画、むしろ海外の作品と比べても上をいく完成度。

本作は大まかに言えば近未来の日本を舞台にした青春モノですが、その絵作りや雰囲気は徹底して作られておりクオリティが非常に高い。特にスラム街の画面から漂う怪しい“映画”ならではの雰囲気は凄い!

暴力団や麻薬組織までも登場し作品のスケールも大きい。銃撃シーンやバイオレンスシーンも登場し自主制作(しかも学生で)よく撮った(撮れた)な~と感心してしまうレベルです。

また本作は音楽のセレクトや演出も秀逸。映画オリジナルの楽曲も使われており、二宮氏は自身で楽曲制作をしていた経験もあってかそのセンスが炸裂しております。サントラが欲しいレベル!

現状を打破したいと強く願う若者を描いている作品としては北野武監督の『キッズ・リターン』(オマージュに近いセリフも登場?)を筆者は思い出しました。90年代の香港映画の青春映画に近い匂いも?

新鋭監督・二宮健とはどのような人物なのか?

『SLUM-POLIS』を監督した二宮健は1991年大阪生まれ。2008年、高校2年時に『試験管ベイビー』が第3回高校生映画コンクール映画甲子園2008にて監督賞を受賞と若くして頭角を現す。その後も精力的に映画制作を行う。

現在はクリエイターズカンパニー「Ashtray Arts」を発足させ映像ディレクターとして活躍しているとのこと。中学1年生から映画を撮り続けているとのことで根っからの“映画馬鹿”であることが伺えます。

また二宮氏は本作を作る上で「学生の卒業制作でなく、映画館に来て頂いた人に向けて映画を作った」と発言しており、自分たちの自己満足でなく「純粋に良い映画を撮ろう」という強い意気込みを感じ取りました。

その高い志は素晴らしい形で作品として世に放たれたのです。筆者はこの『SLUM-POLIS』、そして二宮氏の心意気が映画好きだけでなく色々な方に届いてくれることを心の底から願います!

色眼鏡を取っ払っても純粋に映画として優れた驚異の一本

「“学生にしては”凄いクオリティー!」みたいなファクターはどうしても入ってしまうかもしれませんが、その色眼鏡を抜きにしても映画として純粋に素晴らしい作品に仕上がっております。

『SLUM-POLIS』は映画でしか表現出来ない鮮烈な青春群像を、独特の映像センスで真正面から描いた傑作です! 実は本作に変化球なんて何もありません。あるとしたら「学生が作った」という要素ぐらい。

画面から若さ溢れるパワーがほとばしっておりますが、どんな才能ある人間でも若いうちにしか作れない作品がある。それを二宮健という1人の異才が最高の形で創り上げたのは非常に喜ばしいことではないでしょうか。

日本にも才能ある新世代がこうして世にドンドン出て欲しい!同年代では『孤高の遠吠え』で注目を集める小林勇貴氏もその筆頭でしょう。日本映画界の未来をこれから担って欲しいものです!

『SLUM-POLIS』、まだまだ劇場公開数は少ないですが、ヒューマントラストシネマ渋谷での一週間限定公開、この機会に是非ともお見逃しなく!

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  • ゆーき
    3
    #2020年183本目
  • よっしー
    3.3
    記録
  • Ryo
    -
    2015年、武蔵野館での上映。
  • sumako
    -
    2020.151 え?これ卒業制作なん?すごい。 楽しい出来事って一瞬だよねって切ない絵作りが上手い。二宮監督は日本の曲は使わないんかしら。 アベラヒデノブさん好きー。
  • りっく
    3.7
    物語的にはチープだし、推進力もないし、意味のないイメージ映像がひたすら続く。映像的にも「スワロウテイル」をベースに、クリストファーノーランをはじめとするハリウッド映画、あるいは三池崇史や原田眞人のVシネシリーズといった撮り方や雰囲気を模倣しパッチワークしたものにも見えてしまう。 だが、これだけははっきりとしている。久々にワクワクするような才能を持つ若手映画監督が現れたと。音楽と映像への執拗なこだわり。確かに映画で一番大切であり気持ちのいい要素であり、不思議と感情が揺さぶられ、映画的な推進力はそこから生み出される。明らかに背伸びをしてスケール感を出してはいるが、その背伸びを最後まで貫き通しているその胆力、地足の強さは圧巻。 オリジナリティの域には達していないが、それでも俺はこれが好きだからとことん撮ってやるといった作り手の気概がビシビシ感じられる、目の覚めるような快作。次回作が本当に楽しみだ。
SLUM-POLIS
のレビュー(363件)