近年、パブロ・エスコバルという人物の名をよく見聞きするようになりました。
Netflixに彼を題材にしたドラマが2作品、ドキュメンタリー映画まで配信されている「人気者」です。3月12日にはベニチオ・デル・トロ主演の『エスコバル/楽園の掟』が公開されます。
しかし、彼の正体はコロンビア最大の麻薬密売組織のボス!アメリカにコカインを大量に輸出した男がなぜ注目を集めているのか、ドラマやドキュメンタリー、『エスコバル/楽園の掟』について紹介しつつ説明していきたいと思います。
パブロ・エスコバルとは何者か?
出典:https://www.flickr.com/photos/mnrqz/5585695060/
1949年生まれのエスコバルはコカイン取引で富を築いたコロンビアの麻薬王です。
彼が率いたメデジン・カルテルは世界のコカイン市場の8割を支配するほど力をつけ、慈善事業に力を入れることで市民からの支持も厚かったそうです。
支持を集めようとした理由は政治家になるため。国会議員になった時期もありましたが、相次ぐスキャンダルで国会から追放されてしまいます。
これを機にメデジン・カルテルはテロ組織と化し、暗殺から航空機の爆破まで手広く破壊活動を行っていくことになります。
なぜエスコバルを題材にした作品が作られるのか?
エスコバル人気に影響を与えているのはメキシコ麻薬戦争だと思われます。
麻薬カルテルによる非人道的な殺人事件が多発し世界中で注目を集めたことを受け、同様の題材を実話を元にして作れば人気が出ると踏んだのでしょう。
メキシコの麻薬カルテルが力をつけた背景にエスコバル率いるメデジン・カルテルの滅亡があることも関心を呼ぶ要因になったと考えられます。
エスコバルを題材にした傑作ドラマ『ナルコス』
Netflixのオリジナルドラマ。IMDbのスコアは9という高い評価を受けています(『ハウス・オブ・カーズ』や『ファーゴ』と同スコア)。
『ゴーン・ガール』に脇役として出演したボイド・ボルブルックがDEA(麻薬取締局)の捜査官マーフィーを演じ、彼がエスコバルを追い詰めていく物語です。
テレビ放送を前提としたドラマでは実現不可能なほど凄惨な描写とセミドキュメンタリー風の演出が魅力的。
作風が傑作映画『シティ・オブ・ゴッド』に近いという意見もあるようです。
嘘だろ?と思ってしまうような出来事も多々ありますが、そのほとんどが現実に起きたことだと教えてくれるのがドキュメンタリー『パブロ エスコバルが作り上げた時代』です。
淡々と事実が語られていく『パブロ エスコバルが作り上げた時代』
出典:https://www.flickr.com/photos/home_of_chaos/8780245471/
本作はジャーナリストやコロンビアの大統領、メデジン・カルテルの元メンバーらがエスコバルについて語るインタビューとメディアが報じたニュース映像を交互に映すドキュメンタリーです。
淡々と進行していく中で映る映像や語られるエピソードは『ナルコス』と全く同じ。あれ事実だったの!?と驚いてしまう点も多々あります。
ドラマが取りこぼしたエスコバルの真実を補完している部分もあるので、『ナルコス』のファンは見ても損はありません。
3月12日公開の『エスコバル/楽園の掟』はどんな映画なのか?
(C)2014 Chapter 2 – Orange Studio – Pathé Production – Norsean Plus S.L – Paradise Lost Film A.I.E – Nexus Factory – Umedia – Jouror Developpement
主演は『スター・ウォーズ/エピソード8』に出演が決定したベニチオ・デル・トロ。監督は本作が初監督作品となる俳優のアンドレア・ディ・ステファノです。
カナダ人の青年がコロンビア人女性と結婚したことでメデジン・カルテルの一員として取り込まれ、逃げられなくなるというストーリー。
『ナルコス』はエスコバルを対立する立場から描いたドラマですが、本作は『グッドフェローズ』のように内部からエスコバルの恐ろしさを描いた映画です。
観客はコロンビアの裏社会を疑似体験することができ、その恐ろしさを痛感することでしょう。
海外での評判は賛否あるもののデル・トロの演技を高く評価する声が多いようです。絶賛する側は熱烈に支持し、批判する側からは、デル・トロの演技は評価するけど1980年代のドラマのようだという意見が見られます。
題材が題材なだけに人を選ぶ映画なようですね。ただし、デル・トロファンは必見です!
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】今後もエスコバル人気は続く?
『ナルコス』はシーズン2製作が決まっており、当分はエスコバル人気は衰えないでしょう。
しかし、既に多数の作品が製作されていることもあり、いずれ賞味期限は切れます。その時もてはやされるのは、ショーン・ペンのインタビューを受けたメキシコの麻薬王ホアキン・グスマンかもしれません。
中南米の裏社会を舞台にした作品は当分の間流行しそうです。
※2021年10月11日時点のVOD配信情報です。