スルーしていませんか?不思議な魅力のあるジャンル「刑事物映画」より傑作7作品

邦画・洋画、ジャンルを問わない映画好き

いと

刑事物」、それは時に熱く、時に渋く、時に目を覆いたくなるような映画でありながら映画の創世記から今に至るまで延々と作られ続けるジャンル。

今回はそんな「刑事物」という大枠のくくりの中で、傑作でありながら割と見ている人の少ない映画7作をご紹介していきます。

王道中の王道、足で情報を稼ぐ刑事ドラマの鉄板作

砂の器

まず最初にご紹介するのは1974年に公開された『砂の器』。

松本清張の同名小説を実写化した『砂の器』は、地道な捜索と足で情報を稼ぐ捜査の2つを丹念に描いた刑事物の王道であり鉄板作品。

真夏の扇風機しかない部屋で行われる暑苦しい捜査会議や、炎天下の下での捜査活動など今とは時代が違うものの日本の警察という職業の捜査を描く映像の骨子となったシーンはいつ観ても色褪せません。

海外でも高い評価を受け、映画の中枢とも言える音楽とクライマックスの演出、日本の刑事映画を語る上で見逃してはならない傑作です。

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猟奇殺人を追う2人の刑事、猟奇犯罪の謎を描いたサイコミステリー

クリムゾン・リバー

猟奇殺人を描いた刑事映画と言えば一般的に『羊たちの沈黙』や『セブン』が多くあがります。確かにこの2つも傑作であり名作であるのですが、筆者がオススメしたいのは2001年に公開されたフランス映画『クリムゾン・リバー』。

両手を切断され、目をえぐられ、胎児の様な格好で遺棄された男の事件を調べる優秀な刑事と、墓荒しの捜査をすすめる所轄の刑事。それぞれの捜査がやがて街そのものの異常に繋がる。

異常犯罪を題材にしながらもその異常な謎にしっかりと意味合いをつける内容と、『レオン』のジャン・レノ演じる寡黙な刑事と『ブラック・スワン』などで活躍をフランス内外で広げるヴァンサン・カッセル演じるお調子者の刑事のバディムービーとしても大好きな作品です。

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老練、凶暴、正義漢、色の違う3人の刑事がたどり着く警察組織の闇

コンフィデンシャル

刑事物で群像劇と言えばこの映画『L.A.コンフィデンシャル』。

ドラマのアドバイザーを務めるほどの老練刑事、血の気が多く何かとすぐに暴力を振るう荒くれ刑事、実直で仲間の不正であろうとも告発する生真面目な刑事。喫茶店で刑事を含めた客全員が殺害された事件を主軸に、刑事たちの思惑が入り乱れる。

アカデミー賞助演女優賞と脚色賞に輝き、ケヴィン・スペイシー、ラッセル・クロウ、ガイ・ピアースなど今や超有名な俳優が並ぶこの映画はフィルム・ノワールの要素も取り入れた刑事物群像劇。

誰が何を考え、どのように動くのか、その行動の行く末は・・・・・・一度鑑賞しただけでは魅力を吸い取りきれない奥深さも評価される理由です。

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監督、北野武誕生。和製バイオレンス映画

凶暴につき

和製刑事物として忘れてはいけないのがビートたけしこと北野武初監督作『その男、凶暴につき』。

この映画の特徴は何と言っても暴力に継ぐ暴力。ハードボイルドという暴力の多い映画のジャンルの中でも突出して過激な暴力シーンが多く「何が起きるのか分からない」というホラー映画のような恐怖心やドキドキ感により鑑賞中は冷や汗が止まりません。

一方で暴力に反するかの様な淡い色合いと、静かな劇中のBGMなど後の北野映画の原点となる要素の数々が監督としての北野武の才能を感じさせる作品です。

遥か未来を舞台に描かれるSFアクションサスペンス

マイノリティ・リポート

「刑事物ってちょっと地味な印象があって……」という人にオススメなのはトム・クルーズ主演の『マイノリティ・リポート』。

予知能力者を使った「完璧」な殺人予知システムが稼働した世界、人が殺人を犯す前に逮捕する犯罪予防局の刑事ジョンは自身が見ず知らずの男性を殺害する予知を受けてしまう。あり得ない予知を突きつけられたジョンは罠であると確信し、システムから逃れ真実を探す。

SF+逃亡物+刑事物+アクションでしかも監督はスティーブン・スピルバーグ。これだけ詰まっていたらおもしろく無い訳がない!迫力のアクションシーンと10年以上前の作品でありながら遜色のないCGの出来で必見の作品!

しかもしかも、コリン・ファレル演じるウィットワーの捜査の流れは『逃亡者』のようでもあり前述した『L.A.コンフィデンシャル』のようでもあり、意外な真実と物語の終着点は刑事物としても楽しめます。

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麒麟像の前で発見された刺殺体、彼は最期に何を願ったのか

麒麟の翼

ドラマ『新参者』の劇場版である『麒麟の翼』は映画単体としても高水準の作品。

東野圭吾の加賀恭一郎シリーズの実写ドラマ版である『新参者』は1冊の小説を1クールまで引き伸ばしたにも関わらずその完成度の高さに人気が出てSPドラマや劇場版にまで発展することになりました。

しかし、劇場版となると「ドラマを観てないしなー」と言う理由から敬遠してしまう人も少なくありません。その点この作品は細かな人物の繋がりはあっても、事件そのものに繋がりはなく新規の人でもすんなり作品に入れます。

刑事でありながら、推理小説で言うところの探偵役の要素を兼ね揃えた加賀恭一郎の捜査の先にある被害者の最期の願い。皆さんも是非鑑賞してみてください。

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差別、貧困、未だ変わらぬ南アで巻き起こる猟奇殺人

ケープタウン

最後に紹介するのは2014年に公開された『ケープタウン』。

南アフリカのケープタウンで惨殺された女性の死体が発見される。すぐさま捜査に乗り出した警部のアリと部下のブライアンはこの事件が巷で流行る薬物へと繋がることを知る。

ネルソン・マンデラにより改善こそされたものの未だに差別や貧困などの問題が残る南アフリカのケープタウンを舞台に繰り広げられる重厚で猟奇的で辛い物語

静かな信念を燃やすズールー族の刑事アリと、自堕落で酒と女に溺れるが有能な刑事ブライアンの信頼関係の描き方もフォレスト・ウィテカーとオーランド・ブルームの演技により魅力を増し地名度が高くないのがもったいないほどの出来。

燃やすべき信念とは、果たすべき行為とは、アリの最後の行動にも注目してください。

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まとめ

刑事物には不思議な魅力があります。謎を解明していくおもしろさ、正義とは何なのかを問いかけるメッセージ性、一言では語り切れないほどの魅力が詰まったジャンルだからこそ今に至っても手を変え品を変え様々な映画が製作されているのです。

今回紹介させて頂いたのはその中でもごく一握り、興味を持って頂けた、もしくは全て見たことのある映画だったという人もこれを気にまだ見ぬ刑事物映画に触れてみてはいかがでしょうか。

 

※2021年12月23日時点のVOD配信情報です。

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  • 電気羊
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    この事件に至った経緯 父子の愛 オーケストラにのせて見せる父子の旅路 今はこの様な事件が起こらぬ世になったのだろうか
  • そら
    3.7
    記録
  • YOU
    3.8
    昔から安部公房の『砂の女』と混同しがちだった。 フルオーケストラ・シネマコンサート なるものがある。時々新聞広告で見かける。 『タイタニック』や『男と女』など 誰もが認める名作が並ぶ。 ある時そこに『砂の器』があった。 それほど?っていっきに興味が湧いた。 原作は安部公房ではなく松本清張。 松本清張の映画は横溝正史のように 古いしきたり、慣習、戦争体験、昭和的風俗が ベースにあり確かに見応えがある。 『天城越え』はその際たるものだろう。 広末涼子主演『ゼロの焦点』(2009年)は だいぶ洗練されていた。 本作を観ていて頭に浮かんだのが 森村誠一『人間の証明』と『ゴルゴ13』の 戦争時代の逸話。 昭和の匂いがぷんぷんするのだ。 『陽のあたる場所』や『めまい』のオマージュも感じた。 東京、秋田・亀田、島根・亀嵩、伊勢、石川と、 原武史「歴史のダイヤグラム」のような紀行気分になる。 社会福祉が貧弱で、乞食・物乞い・放浪が疎まれた時代。 癩病の父と子。父親役の加藤嘉が迫真だった。 確かに終盤の回想と音楽の絡みが見事だ。 芥川也寸志が音楽監督だったのだな。 なぜ恩人を殺めることになったのか? この辺の機微は複雑で深い。 「首に縄をつけてでも…」今では耳にしないセリフだ。 自分の信念や思いが他者のそれと同じだと思えた、 共同幻想の時代。戦争や家父長の名残りでもある。 昔は思いが激しかったのだとわかる。 丹波哲郎がなにげに好印象、森田健作も若々しい。 小津映画でおなじみの佐分利信が渋い。 なによりも存在感があったのは島田陽子。 汚れなき女性像を地で行っている。 本作ではさらに裸の胸が見れる。 実生活では、少女時代にバレエをやっていたらしい。 さもありなん、そんな感じだ。 内田裕也と不倫、ヘアヌード写真集、略奪婚、 AV出演とファンを驚かせた。 お仕着せへの反発、自分らしさの希求、 殻を破りたい衝動などあったろうか。 今書いていて、先日島田陽子の訃報が新聞に あったことを思い出す。 いろんなことをしみじみと思う。
  • ManamiTaniguchi
    4.5
    小さい時に親に見せられて悲しくて泣きました🥺とうちゃんの表情が。😭
  • kuu
    3.9
    『砂の器』 製作年 1974年。上映時間 143分。 原作は、 松本清張の長編推理小説。 1960年5月 17日から1961年4月20日にかけて 『読売新聞』夕刊に全337回連載された。 『張込み』 『ゼロの焦点』の映画化で松本清張から高い評価を得ていた橋本忍、野村芳太郎のコンビに、脚本として山田洋次が加わり、原作には 『親子の浮浪者が日本中をあちこち遍路する』 としか書かれていないエピソードを、『父と子の旅』として繰り広げた渾身の脚本が出来上がった。 ドラマの後半は交響曲 『宿命』 と日本の四季 折々の風景をバックに、 事件の謎解きととも に、 父と子の逃れられない宿命の絆が浮き彫り にされていき、観客の涙腺を刺激する。 豪華キ ャストもそれぞれ柄に合った好演をみせている。 ある日、国鉄蒲田操車場構内で扼殺死体が発見された。  被害者の身許が分らず、捜査は難航した。 が、事件を担当した警視庁刑事・今西と西蒲田署刑事・吉村は地道な聞き込みの結果、事件前夜、被害者と酒を飲んでいた若い男の存在に行き当たる。 今西と吉村の2人は東北なまりの“カメダ”という言葉を数少ない手掛かりに、男の行方を追う。 しかし2人の執念の捜査もなかなか実を結ばず、犯人へと繋がる有力な情報は得られない日々が続いた。 いよいよ迷宮入りかと思われたとき、小さな新聞記事がきっかけとなって、捜査は急展開を見せ始めた。。。   今作品はもう古典の部類に入れてもよい映画であり、日本の文化に富んでいる善き作品でした。 今作品は、表面的にはサスペンス殺人物語ですが、運命というテーマを探求し、観てる側を松本清張節の概念に引き込みます。 また、今作品には皮肉が込められている。 今作品は東北の小さな町で始まる。 しかし、すぐに殺人事件の手がかりに焦点が移り、今西栄太郎と吉村弘の刑事(丹波哲郎と森田健作)が本州中を駆け巡り、さらなる詳細を探っていく。 我々は、彼らと一緒に美しい日本の田舎を旅し、夏の暑さの中で彼らのおもてなしを体験する旅に出れる。 ちなみに、丹波哲郎は、霊界の話をするよりも、袖をまくって仕事の方がとても似合ってたしシブかった。 殺人の被害者である三木謙一(緒方拳)は、村のみんなから慕われている元亀嵩駐在所巡査で、生涯まっとうな行いしかしてこなかった。 誰も彼に敵がいるとは思っていなかったが、彼は殺され、その死体は東京に捨てられていた 今西刑事が三木の同僚や友人に話を聞くと、火事から子供を助け、病人を病院へ運び、息子を看病しながら病気の乞食を病院へ送るなど、日本の有名な詩人・ヒューマニスト・教師の宮沢賢治が生きているように見える。 脚本家の橋本忍と山田洋次は、宮沢賢治のヒューマニズムに敬意を表して、この愛すべき警官に、賢治という文豪と同じような思いやりのある性格の名前をつけたんちゃうかな。 作中、登場人物の一人が、運命とは『生まれてくること、生きていること』と定義していることは、あまり多くを語る必要はないかな。 これはポジティブにもネガティブにも解釈できる。 つまり、今この瞬間を楽しみ、生きていることに感謝すること、すなわち運命を受け入れること、あるいは、生まれた以上、何が何でも生きて先に進むために努力しなければならない、ちゅうことかな。 いずれにせよ、我々の人生、あるいは我々が積み上げてきたものは、砂上の楼閣のように、一時は立派に見えても、いずれは崩れて流されてしまうもの。 したがって、我々の運命はすでに決まっているのなら、すべての努力は無駄となる。 権力、名声、富、愛など、我々が望むものはすべてなくなってしまう。 これは極めて仏教的な考え方であるかな。 皮肉なのは、刑事たちの親切なもてなしと、ハンセン病患者の親子が物乞いをしながら各地を歩き回り、田舎者に嘲笑されたことの対比である。 もうひとつの皮肉は、映画の後半、雪景色、桜の下、海辺、山間部など美しい日本の田園風景が、放浪する親子を前景にして描かれたこと。 台詞は必要ない。 しかし、情熱的なピアノ協奏曲は、彼らの悲しみ、孤独、見捨てられ、強い絆を鮮やかに描き出していた。 そこに、新進気鋭の作曲家・和賀 英良(加藤剛)が過去を痛烈に振り返りながら演奏する姿が見事に重なってました。 とても良質な作品でした。
砂の器
のレビュー(9938件)